逗子市立逗子小学校

元気な子 よく考える子
進んで取り組む子
人との関わりを大切にする子

明治5 年(1872 年)開校。開校以来150 年の歴史を誇る小学校である。逗子市は神奈川県の南東にあり、相模湾に面し、鎌倉市・葉山町に隣接し、山と海に囲まれた風光明媚な地域としても知られている。その伝統ある逗子小学校ですべての学年でパソコンを取り入れたICT 教育に力を入れ、コミュニケーション能力の向上を教育方針の一つにしている。その意欲的な取り組みについて話を伺った。

<阿部英子先生>

本校では『ICTを活用したコミュニケーション能力の育成』を目指して研究を進めています。全ての学年にパソ
コンを配備し、低学年のときから触れる機会があって当たり前という環境にしています。
例えば、国語では今まで紙にまとめていたものをWordのようなドキュメントにまとめたり、図工や家庭科では
先生のお手本を動画にして、子供たちが気になることがあればいつでも何度でも見られるようになっています。これらは授業をとても効率的にするだけでなく、子供の自主性を生むことにつながっていると思います。

コミュニケーション能力を伸ばすとは
次にコミュニケーション能力を伸ばすということですが、コミュニケーションということは一人では完結しません。相手と自分がいて初めて成り立つものです。ですから私が特に力を入れているのは、みんなが自分の意見を言い合える土壌づくりです。
具体的に言うと、遠慮なく自分の意見を相手に言えて、受け取る側はそれを決して否定するのではなく、受け止め
ることができる環境です。子供だからこそ間違うことなんてたくさんあります。それでも互いの存在を「I’m OK!
You’re OK!」と言い合える関係をつくっていきたいと思います。そうした関係づくりを土台に、ICTを活用するこ
とで、考えていることが可視化さたり、互いの意見を見合ったりすることをすすめて、コミュニケーション能力が育
成されていくと良いなぁと考えています。
その土台作りには、先生である私が子供たちに与える印象が大事だと思います。まず私が意識していることは、教室に入るときの挨拶です。当たり前なことなのですが、毎日のことなので、ついつい疎かになってしまいがちです。大きな声で元気よく挨拶をすれば、子供たちもそれに返してくれます。そして笑顔でいること。教室の雰囲気を和ませ、子供たち同士だけでなく先生に対しても意見しやすい環境づくりをしています。
そして、しっかりとしたリアクションをすること。今はコロナによってマスクをしているので、表情や声はどうしても子供たちに伝わりにくくなってしまいます。その状況の中で子供たちに伝えるためには、大きく大胆に全身を使うよう気をつけています。コロナによって、不便を感じることが多い日々ではありますが、子どもたちの思いや考えを尊重し、ともに考え悩んで、一緒に学んでいきたいとおもいます。私自身が子どもたちから教わることの多い毎日です。日々感謝ですね。

人とのつながりを大切に
みなさんには人とのつながりを大切にしてほしいと思います。私自身、今までさまざまな人とのつながりで人生が変わってきています。この先どんどん大人になるにつれてコミュニティも広がっていき、中には苦手な人もいるかもし
れないですね。出会った人があなたの人生に影響することがあると思います。だからこそ、たくさんの人と出会ってほしいと思います。自分の趣味や興味が近い人もいいでしょうが、感性や考えが違う人とも話してみましょう。「一期一会」ひとつひとつの出会いを大切にしてほしいです。

<高司智也先生>

今、逗子小学校ではパソコンを全学年に導入しており、子供たちはそれを文房具のように使って調べ物をしたり、スライドを作ったりと日々考えながら過ごしています。それらも使うことによって子供たちが新たな発見をし、自分たちで考え成長する姿を見るのはうれしいことです。

SDGsの問題に取り組む授業
逗子小学校における特徴的な授業として「総合」の授業があります。この授業では今
世界的に注目されているSDGs についてドローンを切り口に学んでいます。例えば、ドローンを活用したSDGs の17の目標の解決方法を考えたり、ディスカッションやプレゼンテーションスキルについて学んだりしています。後期からは子供たちが住んでいる逗子の街に着目し、子供たちがSDGs をより身近に感じ行動できるように計画しています。逗子には山や海、商店街などがあるのでその中にある問題を見出し、みなで解決方法を考えます。そして最後には大人に向けて子供たち自らプレゼンをし、行動に移して、何かしらの形にすることを目指しています。これは現代社会で必要とされる自分で考える力、「問題発見⇒解決策の提案⇒解決策の実行」を行動しながら身に着けることにもつながります。

学校は仲間を得るための場所
私は、子供たちが自分の将来に選択肢を持つことができるようにしていきたいです。総合の授業もそのための一つの大事な教育です。それだけでなく私は子供たちに学校で多様な仲間を得てほしいです。読み書き計算といった知識・技能を身に付けることも大切ですが、それよりも、知識・技能を身に付ける過程で多様な仲間と繋がる体験が大切だと考えています。例えば、グループで発表をする時のことです。スライド作りを担当する子がいたり、発表を担当する子がいたりと分業するグループがありました。これは自分ができないところとできるところを考えてお互い助け合っているのです。このように人とつながれば、選択肢がたくさん増えます。すべて一人で背負う必要はありません。もちろん私が細かいことを強制したりもしません。子供たちが選択をできる環境にすれば、それだけ自分たちで方法を考え、自由に行動することができます。私たち人間は、同じ目標に向かって協働する中で仲間を得ていきます。そのような経験を小学生からしておくことが大切だと考えます。

自分も周りの人もハッピーに
小学生のみなさん。みなさんが何か問題にぶつかったときどうしますか? そんなときに「つまらない」「もうやめ
た」で終わらせるのではなく、どうしたら解決できるか、どうしたら楽しくなるか、周りがハッピーになるかを、視野を広げて考えてみてください。
「これは何のチャンスだ?」と捉えて行動してみてください。みなさんには、クラスの友達や先生の他にも、他の学年の友達や先生、地元の街の人もいます。考え方も人も自分で選択できます。自分で考えて行動することで世界の見え方が変わります。みなさんがワクワク溢れる小学校生活を送ることを願っています。

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